ヒトセミナー(14)
イベント日時: 2006-01-19 13:00
日時:2006年1月19日(木) 13:00-14:15
場所:柏総合研究棟
発表者:清河幸子
所属:東京大学大学院教育学研究科基礎学力研究開発センター COE特任研究員
タイトル:コンサルテーション型協同が表象変化に及ぼす影響
キーワード:コンサルテーション型協同,表象変化,メタなサジェスチョン,他者の遂行の評価

書誌:清河幸子,コンサルテーション型協同が表象変化に及ぼす影響.ヒトセミナー要旨集, no.14, pp.1, 2006.
(本発表ならびに本要旨について引用する際は、こちらをご利用ください。)

要旨:
 本発表では,メンバーの一人(課題遂行役)が具体的な問題解決活動に従事し,もう一方のメンバー(相談役)が課題遂行役をサポートする形で,間接的に課題に関わるコンサルテーション型協同が,発想の転換に及ぼす影響について検討した3つの研究を紹介する。
 研究1では,コンサルテーション型協同が発想の転換に及ぼす影響について,実験による検討を行った。その結果,個人と比較した場合だけでなく,相互作用のない理論上のペアの成績と比較しても,コンサルテーション型協同は発想の転換を促進する上で有効であることが示された。
 この結果を受けて,研究2および研究3では,促進効果が生じるプロセスについて検討を行った。まず,研究2では,相談役からのメタレベルの働きかけが課題遂行役の発想の転換に及ぼす影響を検討した。その結果,相談役がパートナーの問題解決状況を積極的に吟味すれば,メタレベルの働きかけのみで,発想の転換を促進することが可能であることが明らかとなった。
 また,研究3では,課題遂行役から提案されるアイデアを相談役がメタレベルの視点から評価する状況のもつ効果について検討した。その結果,他者の提案したアイデアを評価する活動自体によって,相談役の発想の転換が促進されることが示された。
 以上より,課題遂行役,相談役ともにコンサルテーション型協同によって,発想の転換が促進され,全体としての問題解決が促進されることが示された。

参考文献:
[1] Miyake, N. (1986). Constructive interaction and the iterative process of understanding. Cognitive Science, 10, 151-177.
[2] Okada, T. & Simon, H.A. (1997). Collaborative discovery in a scientific domain. Cognitive Science, 21, 109-146.
[3] Shirouzu, H., Miyake, N. & Masukawa, H. (2002). Cognitively active externalization for situated reflection, Cognitive science, 26, 469-501.
[4] Ueda, K. & Niwa, K. (1997). Cognitive analysis of collaborative knowledge creation in R&D teams. Proceedings of Portland International Conference on Management of Engineering and Technology (PICMET'97) (pp. 524-527).
[5] 清河幸子(2002).表象変化を促進する相互依存構造−課題レベル−メタレベルの分業による協同の有効性の検討−.認知科学,9,450-458.
[6] 清河幸子・植田一博・岡田猛(2004).科学的推論プロセスにおける他者情報利用の効果.認知科学,11, 228-238.


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