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2007-07-02: ヒトセミナー(23)
担当者 OtakeM  登録日時 2007-06-24 22:37 (3516 ヒット)

日時:2007年7月2日(月) 14:00-15:15
場所:柏・総合研究棟6F 630会議室
発表者:坪見博之
所属:東京大学 先端科学技術研究センター 特任助教(発表時)
タイトル:視覚的注意の効果に関わる脳内基盤 −個人差からのアプローチ−
キーワード:視覚的注意、注意の効果、個人差、fMRI、脳内ネットワーク、共分散構造分析

書誌:坪見博之,視覚的注意の効果に関わる脳内基盤 −個人差からのアプローチ−.ヒトセミナー要旨集, no.23, pp.1, 2007.
(本発表ならびに本要旨について引用する際は、こちらをご利用ください。)

要旨:
私たちの脳は巨大な並列分散構造を持つにもかかわらず、時間的にも空間的にも厳しい処理制約を持っている。その中で、目標行動に必要な情報のみを意識に上らせるのが視覚的注意の役割である。本発表では、これまでに行なわれている神経科学的研究と最近我々が行ったfMRI研究を合わせて考察することで、行動実験では構成概念として扱われてきた視覚的注意を具体的な脳内ネットワークの働きとして表現することを試みた。それらによると、大量の情報が視覚野に入力されると神経表象を巡って干渉が生じる。そのとき、前頭葉が頭頂葉を経由して視覚野にモジュレーションをかけることで情報競合を制御していることが明らかになった。さらに、行動に現れる視覚的注意の効果には個人差があり、効果の大きい被験者ほど(1)視覚野の活動が高く、(2)右頭頂葉から高次視覚野への機能的結合強度が強いことが明らかになった。したがって、トップダウンの信号を効率よく視覚野に伝達し、視覚野を強く活動させられるときほど、効率的に情報を選択できると考えられた。

参考文献:
[1] Lennie, P. (2003). The cost of cortical computation. *Current Biolology*,*13*, 493-497.

[2] Desimone, R., & Duncan, J. (1995). Neural mechanisms of selective visual attention. *Annual Review of Neuroscience*, *18*, 193-222.

[3] Farah, M. J. (2000).* The cognitive neuroscience of vision*. Oxford: Blackwell Publishers.

[4] Reynolds, J. H., Chelazzi, L., & Desimone, R. (1999). Competitive mechanisms subserve attention in macaque areas V2 and V4. *The Journal of Neuroscice*, *19*, 1736-1753.

[5] Kastner, S., De Weerd, P., Desimone, R., & Ungerleider, L. G. (1998). Mechanisms of directed attention in the human extrastriate cortex as revealed by functional MRI. *Science*, *282*, 108-111.

[6] Corbetta, M., Miezin, F. M., Shulman, G. L., & Petersen, S. E. (1993). A PET study of visuospatial attention. *The Journal of Neuroscience*, *13*, 1202-1226.

[7] Taylor, P. C., Nobre, A. C., & Rushworth, M. F. (2006). FEF TMS affects visual cortical activity. *Cerebral Cortex*, *17*, 391-399.

[8] Grent-'t-Jong, T., & Woldorff, M. G. (2007). Timing and Sequence of Brain Activity in Top-Down Control of Visual-Spatial Attention. *PLoS Biology*, *5*, e12.

[9] Ramachandran, V. S., & Cobb, S. (1995). Visual attention modulates metacontrast masking. *Nature*, *373*, 66-68.

[10] Ress, D., Backus, B. T., & Heeger, D. J. (2000). Activity in primary visual cortex predicts performance in a visual detection task.* **Nature Neuroscience*, *3*, 940-945.

[11]坪見博之・苧阪直行 (2006). 視覚的注意のトップダウン制御の脳内表現. 心理学評論, *49*, 321-340.
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